漢方薬の煎じ方

漢方薬を煎じ方

以下は、一般的な家庭用のガスレンジを用いた煎じ方をご説明します。
長期間にわたって漢方薬を服用される場合や、できるだけ手間暇をかけたくない方は、市販されている家庭用自動煎じ機(マイコン漢方煎じ器等)を用いると便利です。

 

漢方薬を煎じる時に必要なもの

煎じ薬を作る時に準備するもの
家で自分で漢方薬(生薬)を煎じるには、ガスレンジやIH式のレンジを使う方法があります。家庭用自動煎じ機がある場合を除き、いずれの場合も火加減と煎じる時間が重要になってきます。初めて漢方薬を煎じる時は、焦げ付きを起こさないようにレンジから目を離さないようにしましょう。

 

予備知識

・漢方薬を煎じる際の器は、鉄製以外のもので、ステンレスやアルミ鍋、土鍋や土瓶(直火で割れるものがありますので、土瓶の場合は漢方専用の耐熱性のものが良いです)などを用意してください。
・漢方薬を煎じる時は、弱火で水分を蒸発させながら半分量まで煮詰めますので、基本的には蓋などは使いません。
・漢方薬は必ず水から煎じます。煎じる時間を短くするためにお湯を注いだりしないで、弱火で水から煎じ始めるようにしてください。

・煎じる時の水の量は、必ず処方された際の用法用量をご参照ください。一般的には、漢方薬1日分に水500mLを加え、約半分(250mL)となるまで弱火で煮詰めます。

 

 

漢方薬(生薬)を煎じる時は必ず水を加えて弱火で。
ガスレンジを使って漢方薬を煎じる場合、漢方薬(生薬)は必ず水から弱火で煎じていきます。煎じる時間を短くしようと、最初からお湯を入れたりしないでください。漢方薬(生薬)にいきなりお湯を加えると、低温で溶け出しやすい成分の抽出率が落ちてしまいます。
漢方薬(生薬)を煎じる時の諸注意について
初めて漢方薬(生薬)を煎じる時は、使う鍋の大きさによって、どの位の経過時間で水位が半分になるか分からないので、出来るだけレンジから目を離さないようにします。特に蒸発により水位が減ってくると焦げ付きやすくなりますから注意が必要です。

初めて煎じ薬を煎じる時は、ガスレンジから目を離さないようにしてください。煎じ時間を左右する蒸発量はガスレンジの火力調整や用いる容器の違いによって大きく異なります。最終段階では焦げ付かないように注意してください。

 

煎じ終わったら

煎じ終わったら、すぐに「煎じカス(ティーパック)」を取り出して下さい。煎じカスをそのままにしておくと、溶けだした成分の一部が再び煎じカスの中に戻ってしまうためです。

煎じ終わったら煎じカスを素早く取り除くこと
煎じ終わったら煎じ液が冷える前にティーパック(煎じカス)を取り出してください。ティーパックのろ紙は破れやすいので注意して取り出してください。

 

煎じ終わった後の薬液の保存

自煎した漢方薬の保管で気を付けること
自煎した漢方薬は雑菌が繁殖し易いという欠点があります。雑菌30~40℃付近で繁殖しますので、この温度帯での保管をできるだけ避ける必要があります。そのためには、60℃以上の高温を維持できる容器や、冷蔵庫で5℃以下に冷やす必要があります。保存する容器は必ず事前にきれいに洗ったものを使うようにします。容器が汚れていると雑菌が繁殖し易くなります。

 

煎じ薬をもう一度温めるには

煎じ薬を温めなおす時は電子レンジが便利です
煎じた直後の煎じ薬は人肌くらいで服用しますが、冷蔵庫で冷やした煎じ薬を温める場合は陶器のコップに入れて30秒ほどチンします。ただし、普通に体力があり、普段でも喉が渇いた時に「冷たい水」を飲める方であれば、煎じ薬を服薬する際に再度温めなおす必要はありません。煎じ薬を温めなおす必要があるのは、冷えた煎じ薬を服薬することにより体熱が奪われてしまい、それを補うエネルギー回復が容易でない方です。

 

煎じ薬の保管方法

 

自煎の際にやってはいけないこと

自分で煎じ薬を作る際の注意事項のまとめ
漢方薬を煎じる時に特に注意する点をまとめました。純鉄製の容器で煎じないこと(アルミやステンレスはOKです)。必ず水から弱火で煎じること。煎じ終わったら煎じカスを直ぐに取り出すこと。煎じた液は雑菌が繁殖し易いので冷蔵庫などで保管すること。また、煎じた液は熱いので火傷や、火を使うので火事に気を付けてください。小さいお子さんがいるご家庭では冷蔵庫での保管時は、お子さんの手の届かないと位置に保管されて下さい。煎じ薬を保管して置いたペットボトルなどが、服薬時に膨らんでいたり、異臭がする場合は雑菌が繁殖した証拠ですから服薬することなく廃棄してください。

 

留意点

漢方薬を煎じると蒸気と香りがでます、火事にも注意して下さい
漢方薬を煎じる時は、蒸気が立ち込めるとともに生薬の香りが出ます。このため換気扇を回しながら行うことをお勧めいたします。また、万が一に備えて消火器があると安心かもしれません。

Posted by 薬剤師 井手